愛のない部屋
その夜、峰岸は帰って来なかった。
何処に泊まったのだろう。
気になって仕方がなかったため、昼休みに篠崎を呼び止めた。
「あ、の。篠崎さん」
「おう?」
「峰岸、昨日そちらに泊まりましたか?」
振り返った上司に小言で尋ねれば首を傾げられた。
「いいや。昨日はアイツ、沙奈ちゃんと一緒に帰ったろ?それっきり会ってないけど」
「え……」
だって峰岸は昨日、残業を手伝いに行くと言って家を出たのに。
「なんかあった?」
「喧嘩しました」
「ほう。原因はやっぱ、昨日の訪問者?」
「はい……」
「俺は峰岸から何も聞いてないから、言えることはないんだけどさ」
「そうですよね……」
上司に恋愛相談なんて、迷惑だよね。
「峰岸とちゃんとよく話して、解決……」
「彼はもう私の話すら、聞いてくれません」
泣きたい。
職場で泣くなんてありえないことだと思っていたのに峰岸のこととなると、女々しい自分が嫌になる。