愛のない部屋

タイミング悪すぎだよ…。


「峰岸……?」


「今夜俺が彼女と約束をしていたのですが、そちらの件の方が重要そうなので……」



いつの間にか背後に立っていた峰岸は私を無視して先生に向かって言った。



「あ、この間の……今夜は僕が沙奈を借りてもいいのでしょうか」


「構いません」



峰岸、勝手に決めないでよ。



「私は峰岸と、話がしたい」



きっぱりと言えば、先生は悲しそうな顔をして私をじっと見つめる。



「ちょっと失礼します」



そう言って峰岸は私の腕を引き、先生と距離をとる。



そして小さな声で囁く。





「今夜だけ許す。だから会って話して来い。今夜以外は、認めない」



強い口調。


やっと決意ができた私は、静かに頷いた。




「先生、少しだけなら……」


「ありがとう」



満面の笑みを浮かべた先生と対象的に、隣りに立つ峰岸は疲れたような顔をして静かにその場を立ち去った。




本当はその後姿を追い掛けたかったのに、
私は先生に誘導されるがまま歩き出した。


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