愛のない部屋
喫茶店の中から私のことを不思議そうに見る、学生と目があった。
おかしいよね。
こんな大通りで泣き崩れる女なんて、おかしすぎる。
「道端で泣くなよ、みっともない」
ん?中学生のリアルな意見?
え……、
えええ??
止まらなかった涙も嗚咽も、ぴったっと停止。
「風邪引くぞ」
自分が巻いていたマフラーを私の首に掛けると、そのまま頬に触れた。
ひんやりとした峰岸の手は、私の涙を拭ってくれた。
「どうして……、此処に?」
「後をつけてきたわけじゃないぞ?篠崎が教えてくれた」
「えっ?」
「此処の喫茶店、うちの会社から見えるんだとよ。沙奈が入ってくのが見えたらしく、メールをくれたんだ」
お節介で頼りになる上司に、何度お礼を言っても足りないだろう。
「でも後を追って来たのは、篠崎に強制されたからじゃないぞ。ただおまえが心配で、外から様子を見て大丈夫そうだったら帰るつもりだった」
「うん」
「そしたらおまえひとりじゃねぇか。奴はどうした?」
先生の話をする峰岸は、本当に不機嫌だ。