愛のない部屋
リビングの電気をつけ、ふと気づく。
大切なことを忘れてた。
「昨日……、」
「ああ、昨日はごめん」
コートをソファーに掛け、私から目を逸らした。
「おまえのことはどんな状況でも信じてる、そう伝えたいのに上手く伝わらないもどかしさに、イラついて……悪かった」
「私の方こそごめんなさい。今回のこととマリコさんのことを、比べても仕方が無いのに」
もう解決した過去を持ち出すなんて、卑怯だよね。私も篠崎の元へ逃げ出してしまったこともあるし……。
でも峰岸はそのことをぶり返したりしない。
過去をうだうだ持ち出す行為が愚かなことだって、分かってるのに……。
「奴に再会しても、おまえの気持ちは変わらないんだろう?」
「当たり前でしょ」
「なら俺の心配も、取り越し苦労だったわけだ」
「心配してくれた?」
「心配を通り越した、嫉妬をしたよ」
苦笑した峰岸は、私の首から巻いてくれたマフラーをほどいた。