愛のない部屋
女性社員が峰岸のネクタイが昨日と同じだと騒いでいたよ。
峰岸さんには彼女がいたの?
なんて朝から噂されていて、
"彼女は私です!"って言ってやりたくなったよ……
「滝沢さんち」
「え?」
「舞さんにおもてなしされて、滝沢さんにビール飲まされて酔っ払って寝たら、朝だった」
「…そうだったんだ」
肩を撫で下ろすとは、こういうことなのかと気が抜けた。
「沙奈と喧嘩したバツだと言って、滝沢さんは俺にネクタイすら貸してくれなかったからな」
「……」
心配して損した。
なんだ、タキの家か。
今は日本に居てくれて良かった…。
タキのことを思い出せなかったなんて、相当動揺していたみたい。
「気が抜けたら、お腹減ったね」
「食いたい」
「うん。すぐに作るから」
「まず沙奈を食う」
「は?なに言ってるの……」
「駄目?」
至近距離で甘い声を出す男に誘惑されそうになるも、首を横に振る。