愛のない部屋
心の中で悪態をついても、決心は着かない。
いつも峰岸のキスに答えることが精一杯で、自分からなんて考えたこともなかった。
「……」
渋っている私に呆れたのか、しばらくして峰岸の身体が離れた。
「先生とは、キスしたよな?」
「えっ……」
「そういうこと全てを含めて、俺は嫉妬してるんだ」
「峰岸……」
「この際だから言ってしまうけどさ。俺の知らない沙奈を、好きだった奴がいるという事実が腹立たしい」
「うん……」
私たちは出会ってからよりも、出会う前の方が長い。
「でも峰岸と私には、これからがあるじゃない」
過去には戻れなくても、未来がある。
「これからか……じゃぁまずは、俺と結婚してください」
「……」
最初はおちゃらけているような口調だったのに、
"結婚してください"という言葉は真剣な顔で伝えてくれた。
本気、なのだと分かる。
だから私もその想いに、答えたい。