愛のない部屋
冗談で笑い飛ばせるような雰囲気ではなく、沈黙になる。
秘めた想いを口にした男。
その答えに迷う女。
そんなドラマによくあるようなシチュエーションになり、これは夢かと疑ってしまう。
「……からかってる?」
「まさか」
恐る恐る遠慮がちに尋ねた言葉は、すぐに否定された。
「私たちはもう恋しないと決めたんだよね?」
さっき確認したばかりなのに。
「うん」
「それじゃぁいきなり何ですか?」
「うん」
「……」
悪い冗談だとしたらこの辺でおしまいにして。
絶対おかしな雰囲気になっちゃってるよ。
「ごめん」
次はいきなり謝り出しました。
「どうかしてた」
「……なにが?」
「おまえとだったら、なんか上手くいく気がして」
「……」
今日の峰岸、なんか変。
絶対に変。
「なにかあった?」
そう聞かずにはいられなかった。
他人のことなんて泣いていようが倒れていようが、放っておこうと決めたのに。
峰岸の変化に戸惑う。