愛のない部屋

「タキに言われて此処に来たんでしょ?私の方がアンタに用事があるから、仕方なく来たフリをしていたけど」


峰岸が口を挟まないため勝手に話を進める。


「私がアンタの家から出て行かないように、なんとかして欲しいとタキに頼まれたんじゃないの?」


「……」


「アンタ、タキのこと異常なまでに好きだね」



最後には嫌味を投げつけた。

むかつく。



「……悪かった。ごめん」



あっさり認めた男。
テーブルに額をつけて謝罪された。
でも責める気にはなれない。



「良いよ。たぶん私も同じことをするから。タキに頼まれたら、いくら嫌いな奴でも家に泊めてあげるもん」


タキの頼みだから、アンタも断れなかったんでしょ?その心境だけは理解できるから。



「誤解があるといけないから敢えて言うけど。俺は嫌いな女を泊まらせないし、助手席にも乗せない」


「……」


「おまえだから、家にあげたんだ。いくら滝沢さんの頼みでもウザイ奴を泊めたりしない」



「どうだか……」


巧い言葉には乗らない。


「滝沢さんから紹介される前から、おまえのことを知ってたよ」


「えっ?」



意外な言葉に、またカップを倒しそうになった。
今度はギリギリセーフ。

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