貴方の背中
慣れた手付きでナビをセットして車を走らせる。
「あの…」
「気になさらないでください。遅いのはいつもですから…」
「うん。知ってるよ」
運転しているから前を向いたまま答える。
「えっ?なんで…」
「守衛と仲が良くてね。『サクちゃんって娘位の娘がいつも帰る時にくれるコーヒーが楽しみ』って言ってたからねぇ」
社長の言葉にたいしたことじゃないのに恥ずかしくて顔が熱くなる。
「あっ…ここでいいです。」
学生時代から住んでるところはマンションではなく、本当に今時の女性の独り暮らしか!?というくらいセキュリティもなにもないところ
「えっ?ここ?公園だよ。ここじゃないよね。家の前まで送るから」
だから近くの公園で降ろして貰おうとしたのに…
「すぐそこですから!ありがとうございました!助かりました。」
勢いよく車から降りて頭をさげる。
「じゃあ…おやすみなさい失礼します。」
とにかく走って家の玄関に飛込む。
「びっくりした…社長って案外いい人かも…」