コーヒーに砂糖とミルクを注ぐ時
本来ならこの微笑ましい光景に、見ている側も幸せを感じるのかもしれない。しかし、私の心は空っぽのままだった。

「注文がお決まりになりましたら、こちらのボタンを押してください」

四人に水を入れ、いつもの台詞を言う。蓮さんと美桜さんは微笑んで頭を下げた。

「桃華(ももか)ちゃんは何食べたい?お姉ちゃんがおごるよ〜」

双子の女の子ーーー桃華ちゃんを膝の上に乗せ、椿さんが笑う。

「ももね〜ケーキ食べたい!」

「遥(はるか)は何食べる?おいしいものがいっぱいあるよ!」

蓮さんが男の子ーーー遥くんに声をかけた。

「はるもケーキにする〜」

ボタンが押され、私はテーブルに向かう。

「コーヒーを一つと、ケーキを二つ、それからホットミルクを一つください」

美桜さんが言い、私は注文をきちんとメモした。

「そっか!妊娠してるから、カフェインだめなんだっけ」

空さんが美桜さんのお腹を見つめた。お腹は少し大きくなっている。

「うん。今、妊娠六ヶ月なの」

美桜さんがお腹を嬉しそうに優しく撫でる。それを愛おしそうに蓮さんが見つめた。

「性別はどっちなんだ?」

翔さんが訊ねると、美桜さんは嬉しそうに答えた。

「女の子だって。今度は双子じゃないみたい」
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