コーヒーに砂糖とミルクを注ぐ時
「家族がまた増えるって幸せだなぁ」

蓮さんも美桜さんのお腹に触れる。

ああ、私も結婚したらあんな風になるのかしら?お腹の中で育っていく命を、愛しいと思えるのかしら?

「しかし、本当にあの時は驚いた。高校を卒業してすぐに二人が結婚するなんて思っていなかったからな」

翔さんが微笑む。

「ほんとそれ!びっくりしたよ〜。結婚第一号が美桜さんと蓮だったなんてさ!二十一歳の時にはもうお父さんとお母さんになっちゃったし!」

空さんも言った。

「ねえねえ、プロポーズの話もう一回してよ〜!聞きたくなっちゃった!」

椿さんの言葉に二人は顔を赤くする。しかし、美桜さんが口を開いた。

「えっと……高校二年生の春休みに、二人で隣の県にある綺麗なお花畑へ行ったの。その時に『高校を卒業したら、僕と結婚してください』ってお花で作った指輪を渡されたんだ!すごく嬉しくて泣いちゃった」

「夏休みに本物の指輪を渡した時も泣いてたよね」

幸せそうに二人は話す。二人の指には、銀色に輝く指輪があり、誰が見ても幸せな家庭だ。

私とは全く違う。

渡された指輪はケースに入れたまま引き出しの中に入れたままで、結婚する彼とは最低限のことしか話していない。結婚をするとは思えないほど冷え切っている。
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