Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「いってくる」

いつものように淡々とあたまを下げる母に見送られて家を出る。
今日も父と一緒に、車で出勤。

「そろそろ、高鷹の下で働くのにもあいてきたんじゃないか」

さりげなく、父がまた異動の話を勧めてきて、心の中ではぁっと小さくため息をついた。

「いろいろさせていただいて、やりがいを感じています。
こんな機会を与えてくださった、高鷹部長には感謝しています」

「そうか」

短くそれだけ言って、父は窓の外を見ている。
はぁっとまた心の中でため息をつき、口を開く。

「お父様にも感謝しています。
敵対している高鷹部長の下で、私を快く働かせてくださって。
お父様がこんなに寛大な方で私は嬉しいです」

「そ、そうか」

ちらちらと父の視線がこちらに向かう。

はい、これで完璧。
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