Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「しゃべってばっかりじゃなくて、食べよう?
冷めちゃうよ」

「……うん」

スプーンを握って、もそもそとお茶漬けを食べる。
いまは穏やかに笑っているけれど、さっきの春熙は――また、虚無の顔をしていた。


「おやすみ、愛乃」

「おやすみ、はるくん」

いつものように、見えなくなるまで春熙を見送る。
春熙を怒らせてはダメ、わかっているのに最近の私は怒らせてばかりだ。

「気をつけなきゃ……」

でも私には、なぜ今日、春熙が怒っていたのかわからない。



出勤はなにか用が入らない限り、いまでも父と一緒。

私が学生の頃はどこかに泊まって帰ってこない、なんて珍しくなかったのに、同じ会社に勤めはじめて一緒に通勤するようになると、必ず帰ってくるようになった。
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