Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
私を見る、眼鏡の奥の目は悲しそうだった。
もしかして、同情されているのだろうか。
けれどいままで、私の不自由なんて理解してくれた人はいなかったので、同情でも嬉しい。

「ありがとうございます」

こうして、今日の食事会のメニューは私の希望で牛丼になったというわけだ。
他の人に嫌がられるんじゃないかって、心配しなかったわけじゃない。
でも、みんな軽く承知してくれた。

「愛乃はどれくらい、使えるようになった?」

私の話題が出て、背筋が伸びる。

「そうですね、入力ミスもほとんどなくなりましたし、なにより覚えがいいです」

これは……椎名さんから褒められている!?

椎名さんは私の憧れだ。
高鷹部長と並んでも釣り合う、すらりと高い背。
私が塗ったって絶対に似合わない、真っ赤な口紅だって彼女が塗ると様になった。
仕事もバリバリこなして実質、経営戦略部のナンバー2。
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