Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
でもあの日、高鷹部長は私に約束してくれたのだ、父と春熙から私を守ってくれると。
その言葉に偽りはないはずだ。

「高鷹部長がそんなこと、するはずない」

「そんなに彼を信頼しているんだ」

「うん」

春熙から返ってくる言葉はない。
もの悲しいバラードが、さらにその場の空気を重くする。

「……はぁっ」

あきれたようなため息が春熙の口から落ち、ぴくんと指が反応した。

「それ、お義父さんに言っちゃダメだよ?
愛乃が高鷹部長にたぶらかされたって、怒りすぎてあたまの血管、きっと切れちゃうから」

「……わかった」

春熙は困ったように笑っていて、私もほっと笑い返した。
< 112 / 340 >

この作品をシェア

pagetop