Take me out～私を籠から出すのは強引部長？～

椎名さんにも岩岡課長にもチェックしてもらった。
なのになんで？

バットで殴られたかのようにあたまがくらくらするが、いまは気にしている場合ではない。
震える指で書類をめくっていくと一ページ、大きく殴るようにバツがしてあった。

「その、あの、えっと、申し訳ありませんでした！」

これだけできたら一人前、なんて椎名さんに褒められて少しいい気になっていた。
これでもう、お荷物は卒業かな、って。

でも私は、こんな簡単な会議の資料作成すらできない、ただのダメ社員だった。

情けなくて涙が出てくる。
でもこんなことで泣くような奴だなんて思われたくなくて、必死に我慢した。

「その、庇うわけではないですが、最終チェックは私がしました。
愛乃さんの入力にミスはなかったはずです」

おずおずと岩岡課長が申し出るのと同時に、椎名さんも私の席へとやってくる。