Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「大丈夫だ。
じゃあ、行ってくる」

その頼もしい背中を、笑顔で見送ったのだけれど――。


仕事をしながら、ちらちらと時計をうかがってしまう。
いまどのあたりなんだろうか、本当に資料は大丈夫だったんだろうか。

それに、あの資料は春熙も見るのだ。
春熙は私の仕事を認めてくれるだろうか。

――バン!

予定時間を少し過ぎた頃、勢いよくドアが開く。
つかつかと勢いよく歩いてきた高鷹部長は、私の前に資料をバサリと置いた。

「数字が間違っていた」

眼鏡の奥の冷たい目に、一気に血の気が引いていく。

「入力ミスはするなと、あれほど言ったはずだ」

「す、すません!」

何度も何度も確認した。
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