Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「あれだけ恥をかかされておいて、愛乃に当たったりしなかったんだ」

へーと言った春熙の声は、感心しているというよりも無感情だった。

「……高鷹部長、そんなに恥をかいたの?」

私の入力にミスがなかったにしても、自分の作った資料で上司が恥をかいたとなれば、申し訳ない気持ちでいっぱいになってくる。

「もう僕でさえ気の毒になるくらい、他の部長たちに嘲笑されていたね。
これだから成り上がりの若輩者はって」

「……」

俯いて、唇を噛みしめた。
高鷹部長がそんな目に遭ったなんて。

けれど彼は、莫迦にされたと私に当たったりはしなかった。
以前、入力ミスはしないようにと注意をされたのに、できていなかったので怒られた。

……結果としては、ミスはなかったのだけれど。
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