Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「愛乃の作った資料であんなに赤っ恥をかいて。
可哀想だね、彼」

春熙はさっきから、いったいなにが言いたいのだろう。

「彼もほとほと、愛乃に愛想が尽きたんじゃない?
いい加減、お義父さんの言うこと聞いて……」

「はるくんは!
なにも!
わかって!
ない!」

驚いたかのように大きく目を開き、一瞬だけ春熙が私の方を見た。

「確かに高鷹部長には怒られたけど、それは以前注意された入力ミスをしていたから。
そもそももらった資料が間違っていて、私はミスなんかしてなかったし。
それがわかって高鷹部長は私に本気で詫びてくれた。
それにそんなに恥をかいたのに、それで私に当たったりしなかった。
はるくんは高鷹部長のことを誤解してる」

一気に捲したてたせいで酸欠になり、ぜーぜーと呼吸が荒くなる。
気が済んで春熙の顔を見ると、能面のような顔をしていた。
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