Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
だって、父もおじさまも全く乗り気じゃないから。
もっと言えば、春熙が本部長をしているIoT事業部だって、時流に乗り遅れそうになって渋々設立したくらいだ。

「それにこういうのは、プロがやると返ってやらせっぽくなるから、素人がやる方がいいんじゃないか」

うーんとみんなで首を捻る。
素人といっても一般募集してやればまた、予算がかかるわけだし。
ボランティアにしても稟議が通るとは思えない。

「……愛乃ちゃんとか、どうですかね」

橋川くんの声に、今度は私へ視線が集中した。

「……はい?」

「いまだに初々しくて可愛くて、男だったら守ってあげたいタイプで絶対人気出ますし。
女性的にも可愛がりたいタイプじゃないんですか、椎名さん?」

「そうねー。
人目と立場がなかったら、好きなお菓子をいっぱい、あーんして食べさせてあげたい」

うっとりと夢見るように椎名さんは目を細めているけれど……もしかして、想像していますか?
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