Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
椅子の上に足を上げて身体を丸め、がたがた震えている橋川くんに目には、薄ら涙さえ浮いていた。

「す、すみません。
いいアイディアだと思ったんですが……」

しゅん、橋川くんはすっかり項垂れてしまった。
なんだか一瞬、ぺたんと伏せられた犬の耳と丸まった尻尾が見えた気がする。

「確かにいいアイディアだった。
でも俺はもう、ああいうことはする気がないんだ」

眼鏡の奥の目を細め高鷹部長が笑った途端、ぱーっと橋川くんの顔が輝く。

「すみませんでした」

今度は幻の尻尾がぱたぱた振られていて、わかりやすいなー。

「でも没にするには惜しい。
プロを雇うにしてもきっと上層部は理解しないから予算が下りない」

いまは企業のNyaitter(ニャイッター)運用も盛んだけど、うちの会社では運用していないも等しい。
一応、アカウントはあるものの、【製品情報 春 新携帯発売 www.smooth.co.jp/……】ばかりだし。
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