Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
黒シャツに黒ネクタイ、黒スーツと黒ずくめで携帯を手にパンフレットに写っているのは、若い頃の高鷹部長だった。

「若い、けどあんまり変わってない……」

「だろ?
ほんとにオレらと同じ人間なのか、疑わしくなる」

橋川くんはおかしそうにくつくつ笑っている。
うん、私もそう思う。
もしかして、永沼さんみたいに魔女……いや、男性だから魔法使い?

「SMOOTHに入社したのも、そのときの縁みたい。
しかもあの顔だろ?
枕して入社したとか、さんざん酷いこと、言われたみたいよ?
実際は入社式、代表で挨拶するくらい優秀だったんだけどね。
でもそれでさらに陰口叩かれたみたい」

「酷い……」

いまだって父やおじさまは高鷹部長の悪口言うとき、〝顔だけの人形〟って言う。
昔も、いまも、なにひとつ変わっていない。

「けどあの性格だろ?
うるさい奴らは実力で全部黙らせてきた。
それはこれからもきっと。
香芝専務も、東藤社長だってそのうち……あ、ごめん」
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