Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
言葉を途切れさせ、ばつが悪そうに橋川くんは目を伏せた。

「ううん、いいの」

父やおじさまのやり方が、もう通用しないのはよくわかっている。
だから誰かが、この会社を変えなきゃいけないのも。

「まあ、オレも全部、岩岡課長から聞いた話だけどさ。
そういうわけで高鷹部長、モデル時代の話はあまり触れてほしくないみたい」

「了解」

きっと、会社を変えるのは春熙じゃなく高鷹部長なんだろう。
これは予感じゃなく、確信。

春熙はおじさまに逆らえない。
私は春熙に逆らえない。

――けれど。
この関係は近いうちに、変えなければいけない。
  

お盆休み直前のその日、部内の空気はどことなく落ち着かなかった。

誰も彼もが、ちらちらと時計を確認する。
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