Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「最近、その、……仕事、頑張っているようだな」

目を伏せ気味に私のお猪口へお酒を注ぎながら、ぼそりと父が呟いた。

「あの、今日は私の仕事を認めてくださり、ありがとうございます」

背筋を正して父へあたまを下げる。
父は手酌で注いだお酒を、ぐいっと一気に飲み干した。

「別にお前がやったことだからと認めたわけじゃない。
あれは……いい案だと思ったから」

私が注いだお酒を、父はまた勢いよく飲み干す。

「いつまでも小さな子供かと思っていたら、いつの間にかこんなに成長していたんだな」

ふっ、と薄く笑った父は遠い目をしていた。
それでも――相変わらず、父は父だったが。

「どれ、私はが玉子を割ってやろう」

「それくらいできますから!」

「貸しなさい」
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