Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「でも。
……今日の愛乃の着物も可愛いね」

「そ、そうかな」

今日は水色地に白でクラシカルなバラ柄を染め抜いた麻の着物に、黄色の帯を締めてきた。
足下はレースの足袋に黄色い鼻緒の、白木の下駄。

海水浴になんて着ていける服がなくて買おうと思ったんだけど、春熙に反対されて。
仕方なく、いつもの着物。

でも、ホテルに着いたら着替えていいって言ってくれたから、許す。

「はるくん。
今日はお願い聞いてくれてありがとう」

「ん?
急にどうしたの?」

おかしそうに春熙が笑う。

「愛乃のお願いだったら僕、全部叶えてあげるよ」

……嘘つき。
今日だって高鷹部長から挑発されて、仕方なく来た癖に。
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