Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
何度も勢いよく、うんうんと頷いた。
こんなことをされて嬉しくないはずがない。
さらに角部屋スイートの窓からは、海が一望できた。

「きれいだね」

「高鷹部長たちのとの旅行じゃなきゃ、いますぐここで愛乃の初めてをいただいちゃいたいけどね。
……あ、いや、彼らは無視しとけばいいのか」

後ろから私を抱きしめた春熙の唇が重なる。
離れると、茶色がかった瞳がじっと私を見つめた。

「……愛乃」

熱を持った春熙の声が私の名を呼ぶ。
なにか言わなきゃと思うものの、声が出ない。

「……結婚するまでは、って思ってたけど。
もう……待てない」

再び春熙の唇が重なる。
ちろりと唇を舐められ、私は――思いっきり、春熙を突き飛ばしていた。

「愛乃?」

怒りと戸惑いの混じった春熙の声。
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