Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
ふたりの視線がバチバチと音を立てる。
間に挟まれた橋川くんは、石にでもなったかのように立ち尽くしていた。

「ジムにでも通っているのか」

「通わなくても自宅にジムがありますから」

「へえ。
通わないでいいのはいいな」

「そういう高鷹部長こそ、鍛えられているんじゃないですか。
お年の割に腹が出ていない」

ぴくぴくと高鷹部長のこめかみが痙攣する。
先ほどからあたりは、真夏のはずなのにブリザードが吹きすさんでいた。

「お褒めいただき光栄だ。
一応、健康には気を遣っているものでね」

「ああ、女を抱くとき腹が出ていると、幻滅されますもんね」

なぜかびくんと、耳が反応する。
高鷹部長だって男なんだし、独身なんだから当たり前だとわかっていても。

「そういう東藤本部長こそ、女性に喜ばれそうじゃないか」
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