Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
なにをするのかと思ったら、ワインクーラーから一本掴んで高鷹部長の方へ歩いて行く。

「どうですか?
ブルゴーニュの白ですけど」

挑発するかのように唇だけを歪めて春熙が笑う。

「もらおうか」

高鷹部長も受けてたつと言わんばかりに右の口端だけをつり上げて笑い、本日何度目かの決戦の火蓋が切って落とされた。

「だから。
愛乃を呼び捨てにしていい権利なんて、あなたに与えてないはずですが」

「そもそもどうして愛乃自身の問題に、君から許可をもらわなければいけない?」

ふたりの間にはすでに、空き瓶が二本転がっている。
けれど彼らは全く顔色ひとつ変えず、飲み続けていた。

「愛乃は僕のものです。
すべてのことに僕からの許可を取っていただきたい」

「なにかを決めるのは愛乃の意思だ。
だいたい、愛乃はものじゃない」
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