Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「春熙君も大変だな」

「いえ」

春熙は爽やかに笑い、譲られた私の隣へ座った。

「仕事の方はどうだ?」

「そうですね……って、愛乃の前で仕事の話はやめませんか」

「そうだな」

春熙と父は互いに苦笑いを浮かべ、話をやめてしまった。

総務部の一社員である私が、専務とIoT本部長の話を聞いてもきっと理解できないだろう。
でも私の前で必ず仕事の話をやめるのは、なんだか莫迦にされているみたいでいい気はしない。

「食事に行くんだったな。
私も一緒に……」

「お父様」

私がじろっと睨むと、父は怯えたように視線を泳がせた。

「いや、野暮なことはよそう。
楽しんでくるといい」
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