Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
楽しそうに春熙は今後のことを話している。
でも今日の食事はまるで、粘土でも食べているみたいに喉に詰まる。

「毎日、目が覚めたら愛乃がいるって最高の生活だよね。
僕、会社に行きたくなくなっちゃうかも」

「それは、困るね」

ぎこちないまでも笑顔を作る。
春熙は全然、気づいていないようだけど。

「やっと愛乃が僕だけのものになるんだよ?
こんなに嬉しいことはないよね。
愛乃だって嬉しいでしょ?」

「……うん」

笑顔を貼り付けて頷く。

なんとなく、母の気持ちがわかった。
きっとこうやって感情をすり減らし続けたから、ああなったのだと。

ずっと春熙はいつものように私を抱きしめて、ひとときも離そうとしなかった。
トイレにすら着いてこようとして、困る。
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