Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
春熙がかまえばかまうほど、私は憂鬱になっていくというのに。

「それより、先にどっちに行くの?」

無理にでも笑って話題を変える。
楽しいフリをしていればきっと楽しくなる、そう自分に言い聞かせて。

「お義父さんにはもう、連絡済み。
一緒に昼食を取ろうって言ってくれたよ」

「そうなんだ」

手放しに喜んでいる父の姿が容易に想像できる。
それほどまでに春熙は、父にとって可愛い存在だから。
その春熙が愛娘ととうとう結婚するのだ。
これほど嬉しいことはないだろう。

「父さんは夜、時間を取ってくれるって。
今日中に入籍できないのは残念だけど」

「……そう」

ほんの少しだけ、春熙と夫婦になるのが先延ばしになってほっとした。

「愛乃も残念?」
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