Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「愛乃お嬢様にもしなにかあれば、私めが春熙坊ちゃんに叱られてしまいます」

後部部座席のドアを開けて促され、戸惑いつつも乗る。
坂巻さんも運転席に座ってシートベルト締め、車を出した。

「その、こんなことをする方が、春熙に怒られると思うんですけど……」

車のキーを奪われ、私が逃げた時点で坂巻さんが叱責されるのがわかっていながら、そんな計画立てた私が言うことじゃないけど。

「春熙坊ちゃんが間違ったことをなさろうとするのなら、それを止める責が長年お傍にお仕えした私めにはございます。
それに、春熙坊ちゃんから叱られ慣れておりますから」

坂巻さんは絶対に、春熙に逆らわないんだと思っていた。
だからこそ苦手で怖かったのに。
私は彼を見くびっていたんだな。

「少々飛ばします故、舌など噛まぬようご注意を」

ぐいっとさらに坂巻さんがアクセルを踏み込む。
けれど物言いは昔の人みたいで、そこはやっぱり坂巻さんだった。
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