Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「健闘をお祈りいたします」

「ありがとう!」

坂巻さんに見送られ、前に征史さんに教えてもらった方法で見つからないように会社に入る。
人に見つかりそうになったら隠れたりして目的の部屋を目指すのは、こんなときに不謹慎だけどちょっとスパイになったみたいでどきどきした。

「高鷹部長はいますか!?」

バン!と勢いよくドアを開けた途端に、視線が集中する。

「愛乃ちゃん!?」

幽霊でも見たかのように橋川くんの手からペットボトルが落ち、床に水たまりを作っていく。

「え、ほんとに愛乃ちゃん!?」

橋川くんが私に駆け寄ってくると同時に、室内は蜂の巣をつついたかのような騒ぎになった。

「誰か高鷹部長呼んできて!」

「怪我してるじゃない、救急箱!」
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