Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
パンツなんて学校のジャージくらいしか着たことない私にとって凄く新鮮。

「痕、残っちゃうかもって言ってたね」

「……はい」

頬の傷はたぶん残るだろうって医者には言われた。
仕方なかったとはいえ、顔に傷を作ってしまったのが悔やまれる。

「落ち込まないの!
名誉の負傷なんだから、それで高鷹部長がなんか言ったら、グーパンしてやればいいよ!」

「そうですね」

ほんとに殴る仕草をする椎名さんに私も笑う。
でもこの傷はこの後、私をさらに後悔させることになる。

――ブブブブッ。

不意にバッグの中で携帯が震え、椎名さんは画面を見ている。
指を走らせ返信が終わったのか、またバッグの中へと戻す。

「そろそろ行こっか」

椎名さんに連れられて会社に戻る。
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