Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
ただし、出たときとは違い、正門から。

「いいんですか?」

「大丈夫」

道行く社員が私の姿を見てひそひそと話していて、ちょっと居心地が悪い。

「戻りました、高鷹〝社長〟!」

「……椎名。
それは俺をからかっているのか?」

眼鏡の奥からじろりと睨まれたものの、椎名さんは全く気にしていないようだ。

「えー、満場一致で次の社長に決まったって聞きましたけど」

「……誰だ、椎名に教えたのは?」

征史さんの低い声があたりを凍りつかせる。
おそるおそる手を上げたのは、橋川くんだった。

「はーしーかーわー」

「ひぃっ」
< 307 / 340 >

この作品をシェア

pagetop