Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「もう!
私が気にしてないんだから気にしないでください!
それよりお腹が空きました。
またカツ丼、食べたいです」

努めて明るく笑って振る舞う。

「リクエストは嬉しいが、もうカツのストックがないんだよなー。
疲れている愛乃を食べに連れ出すもあれだし、出前を取るか!」

ようやく征史さんも笑ってくれて、あれこれと思案しだした。
それを見ながら、傷を作ってしまったのを後悔した。
あのときはいっぱいいっぱいで仕方なかったのかもしれない。
でもちょっと気をつければ征史さんをこんなに苦しめたりしなかった。
自分のやったことに後悔しないと決めたが、これだけは後悔だ。


出前で取ったカツ丼を食べて、お風呂に入る。
今日は疲れているだろうからって、早めにベッド。

「おやすみ、愛乃」

「おやすみなさい、まさくん」

ちゅっと軽くキスしたものの、征史さんはまだじっと私を見ている。
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