Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
嬉しそうに笑う征史さんの目尻から、きれいな涙が転がり落ちていく。
今度私が、その涙を指で拭った。

「……この傷、残るそうだな」

「あ、……うん」

征史さんが手が、頬に貼ってあるガーゼの上から傷を撫でる。

「女の顔に残るような傷を作ってしまってすまない」

征史さんは詫びてくれるけれど、これは自分自身で作った傷だ。
征史さんに責任はない。

「まさくんが悪いんではないので」

気にすることないよと笑うけれど、征史さんの顔はちっとも晴れない。

「いや、俺の責任だ。
俺が愛乃を守れなかったから……」

征史さんがまた、落ち込んでいく。
そんなに私を守れなかったのを気に病んでいるのだと、私もつらくなってくる。
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