Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
私は征史さんの手助けがあって籠から出られた。

だから、――春熙にも手助けが必要ならば。

私はそれを惜しまない。
きっと、征史さんも。

そう伝えたいのに、私の声はもう、春熙には届かない。

帰りに覗いたガレージの中では、ポルシェが薄汚れて置いてあった。
暇さえあれば磨いて、あんなに自慢だったのに。

車に乗ると重い現実につい、俯いてしまう。

「……」

「愛乃が悪いんじゃないから」

征史さんの手が伸びてきて、私のあたまをがしがし撫でる。

「俺ももっと、なにか考える。
愛乃ばかりが苦しまなくていい」

「……ありがとう、まさくん」

私は愛する人と生きていくと決めた。
周りをどんなに、不幸にしても。
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