Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
少しだけ心配そうに、征史さんが聞いてくる。

「ポルシェに就職が決まったからドイツに渡って、これからは好きな仕事をするそうです。
あと、余計なお世話ばっかりしてって文句言っといてってことなんですけど……なにかしたんですか」

「あー」

なぜか征史さんはすーっと、ばつが悪そうに視線を逸らした。

「使えるコネを最大限に利用して、彼が好きそうな会社の採用情報やなんか送りつけたんだ」

私の苦しみは一緒に背負うって、口だけじゃなくちゃんと行動してくれる。
私は――本当に素敵な人と結婚したんだな。

「まさくんにはいっぱい感謝しています」

「俺は感謝されるようなことはなにもしていない。
愛乃が頑張っていたから」

そっと征史さんの手が私の頬に触れ、眼鏡の奥からじっと見つめている。
傾きながら近づいてくる顔に、目を閉じ――。

「着きました」
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