Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「先にお風呂、入っておいで」

「うん」

浴衣を手に、部屋についているお風呂に行く。
浴衣は今日の私に合わせたかのように、白地にピンクの桜が散っていた。
きっと、春熙が準備してくれたのだろう。

「うわーっ」

部屋は離れなので、もちろんお風呂は貸し切り。
露天ではないが開けてある、円い窓の外には桜が群生している。

「凄く、きれい……」

陶器でできた、樽を模した浴槽に浸かると、窓からひらひらと花片が舞い込んできて水面に落ちる。
遠くで鶯が鳴き、まるで小説の世界にでも入ったかのよう。

「気持ちいい……」

お湯はとろとろで、美容液にでも浸かっているみたいだ。
あまりにもいい気持ちで、ついうとうとしてくる。

「……うわっ」

危うく、湯船に沈みそうになって目が覚めた。
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