Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「はい、手続きしておきます。
お手数おかけして、申し訳ございませんでした」

杉原課長は書類を確認し、目の前の男――高鷹部長へ丁寧にあたまを下げた。

「あれ、香芝(かしば)専務の娘だろ。
会社に遊びに来ているとかいう」

皮肉るように高鷹部長は、その端正な顔の右頬だけを歪めて笑った。
途端にかっと頬に熱が走り、俯いて唇を噛む。

「君も大変だな、子守を任せされて」

「いえ……」

曖昧に杉原課長が笑う。

「じゃあ、頼んだぞ」

「はい」

高鷹部長は冷たい視線で私の方を一瞥だけして、部屋を出ていった。

彼がいなくなって杉原課長がはぁーっと重いため息をつき、それでなくても薄くなっているあたまから髪が一本、はらりと落ちた。
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