Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「えっ、あっ、いえ……はははっ」

上機嫌でグラスにワインを注いでくれる父に、笑ってごまかした。
だってそれは、春熙がいつの間にか準備しておいてくれたものだ。

「色も深みのある赤で、香りもいい……うん、渋みもそこまでなく果実味が芳醇で、まるで秋晴れの空みたいな味だな」

父がソムリエ気取りでなにか言っているが、聞き流すことにする。

しばらくはワイン片手に土産話をしていた。
父はうんうんと頷きながら、嬉しそうに私の話を聞いている。

「愛乃」

話が一区切りし、改めるかのように父はグラスをテーブルの上に置いた。

「本当に高鷹の下で働くつもりなのか」

じっと父が、私を見つめる。
その瞳は私を責めていた。

「高鷹部長が」
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