Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
「あなたにそんなこと言われなくたって、僕が一番、愛乃を理解しています」

「本当にそうなのか?」

ふっ、右頬だけを歪め、高鷹部長が挑発するかのように僅かに笑った。

「あなたに!
愛乃のなにがわかるっていうんですか!?」

珍しい、春熙の怒鳴り声。
こんな春熙は……見たことがない。

「愛乃、帰るよ!」

再び春熙が私の腕を掴んでくる。
思わず高鷹部長の顔をうかがうと、小さく頷かれた。

「帰るから!
離して!」

春熙の手を振り払い、自分の足で立ち上がる。

「今日はご迷惑をおかけしてすみませんでした。
申し訳ありませんが、これで失礼させていただきます」

靴を履いてすでに春熙は待っている。
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