Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
たまに行かされる、腹の内の探りあいばかりの食事会よりずっと楽しい。

「最初からこうしておけばよかったんだ。
気づかなくてすまない」

「いえ、高鷹部長が悪いんじゃないですし。
返ってこんなに気を遣っていただいて、ありがとうございます」

永遠に、憧れた会社帰りに同僚と食事!なんて無理だと諦めていた。
でも高鷹部長は形は少し違えど、私の希望を叶えてくれたのだ。
もう感謝しかない。

「……愛乃は可愛いな」

ぼそっと高鷹部長は呟き、なぜか手で口もとを隠してしまった。

「高鷹部長?」

「ああいや、なんでもない」

なんでもないように見えないのは、私の気のせいでしょうか……?

「あー、高鷹部長が愛乃ちゃん口説いてるー」

「く、口説いてなんかいない!」
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