Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
これくらいだったら許してくれるんだろうか、期待を込めて顔を上げたものの。

「……でも」

そっと春熙の手が私の頬に触れ、上を向かせる。
私を見つめる、虚無の瞳。

「僕に嘘はつかないで。
……わかった?」

「……は、い……」

からからに渇いた喉は張りついて、たった二音を発するのすら、難しかった。

「わかったならいいよ」

ぱっと私から手を離した春熙は笑っていて、いつもの優しい彼に戻っていた。

「高鷹部長も考えたね、社外がダメなら社内って。
これならダメだって強く反対する理由がない」

「……うん」

「社内での飲み会なら参加していいよ。
ただし、羽目は外さないこと」
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