夜の世界に舞う
「それそれ。スーツ一本って話だったのにいい迷惑。しかも、俺ら使うなってー。まじウゼー。」
ごめんなさい。
staffじゃないです、けど開けます。
ーガチャー
「ってかさー、愚痴なら本人に言えば?まあ、仕事できない人達ならすぐにクビだろうけど。てか、御手洗いの案内もおしぼりを渡すことも出来ない君たち誰に必要とされてんの?まじ謎。」
目の前の2人は顔を見合わせひたすらアタフタするばかり。
「後、あの着物の色は誰が?」
「え、あ、本人です。奏さんが昨日『明日着物も着たいからいつもの店へ取ってきてくれ』って頼まれました。」
「あと、奏には嫌なら嫌って言えばいいと思う。君たちに頼んだのもきっと奏がいけない理由があったのかもしれないよ?奏は嫌って言われたからって怒ったり罵声浴びせるような人じゃないから。関係ないのに勝手開けちゃってごめんね。」
扉を閉めて振り向くと…
いるよね。
だってソファー立ち上がった時目が合ったもんね。
「おまたせ。はい、おしぼり。」
「聞こえた?」
「ちょっとね。」
そう言っ口角を上げる笑い方は無理してる時。
「ごめんね。勝手なことしちゃって。」
俯いて首を振る奏は、奏じゃなくて桜ちゃんの面影しかない。
「桜ちゃん、疲れた?」
首を縦に振る。
あー、本当に参っちゃってる時じゃん。
酔ってるし余計にか。。
「わかった。ちょっとうちの席で休んでていいよ。すぐいくから。」
首を縦に振ってから私から離れる。