夜の世界に舞う
部屋に2人きり。
先に口を開いたのは私
「桜ちゃん、お誕生日おめでとう。こんな祝い方しかできなくてごめんね。」
俯いて首を横に振る桜ちゃんの顔を覗き込む。
「え。」
だって桜ちゃん泣いてるから。
「大丈夫?しんどい?シャンパンは飲まなくていいよ、私持って帰るから。飲んで欲しいからじゃなくて、その時間丁度に祝いたかっただけだから。ね、泣くほどしんどいなら寝てていいからね。」
それでも首を横に振る。
少しの間、桜ちゃんの背中をさすっていると
落ち着いたように顔をあげ「一生残る誕生日だよ。」って笑顔を見せてくれた。