朝マヅメの語らい
「あれ、美味いんだよなあ。から揚げにすると」
 口の中に湧いた涎を飲み下して、橋爪は腕組みした。

「観光地になる前は、お台場といえば釣りだったってのに、意外と知らないもんだよなあ。とはいっても、俺も就職する前はそれを知らないひとりだったけどな。

取引先のグループ会社には釣り好きな人間が結構な数いて、教えてもらったんだ。昔は釣り旅行なんかもしてたんだよなあ。大物狙って伊豆大島とか、八丈島に船で渡ってさ。今じゃすっかり疎遠だが」

 始めはただの仕事上の付き合いだった。しかし、月に一度は集まる関係を続けるうちに、いつの間にか釣りにはまってしまった。

釣果情報の交換はもちろん、仕事の話もよくした。

本社システム課という立場では、以前は開発そのものには携わることはなかったから、そこで仕入れる新しい情報が、自分がエンジニアであり続けるために役立ったし、仕事のモチベーションにもなっていた。
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