朝マヅメの語らい
「船はひとりだとなあ。土日だとグループ客が多いだろ? 気を遣われるとさすがにむなしくなるぞ。やっぱり俺は、釣果は上がらなくても堤防だな」

 橋爪は言いながらふと、神長を誘ってみたらどうかと考えたが、すぐに思い直した。今の今で気軽に声をかけるほど打ち解けた関係ではない。

それに、仕事絡みで新しい釣り仲間を作ったところで、そちらのほうで問題が発生すれば関係も終わりだ。すでに前例がある。

 神長が時計を確認し、椅子から腰を浮かせた。

「ロッド見ましょうか? まだ勤務時間前ですし」
「ん、ああ」

 橋爪が神長からエギングロッドの選び方についてアドバイスを受けていると、小走りで坂巻が戻ってきた。まだ会議が始まったばかりの時間だ。

「おはようございます」坂巻は頭を下げた。

「どうだ、坂巻。お前が出ても何も言われやしなかっただろう」
 橋爪の言葉に「はい」と苦笑して、坂巻はすぐに自席のPCに向かう。
< 16 / 50 >

この作品をシェア

pagetop