朝マヅメの語らい
明けていく空と潮の香りが、釣り好きという仲間意識を連れてきてしまうせいもあるのだろう。あれこれ気をもみながら接するほうが馬鹿馬鹿しくなって、素直にならざるを得なくなる。

「神なだけに、何でもお見通しか。どうやったらそうなれる」
「AI開発がおすすめです」

「これまた、生粋のエンジニアだな」
「冗談ですよ」神長は笑った。

 何も言わずとも、正反対のことを言おうとも、ほぼ自動的に本音を見抜いてしまうのが神長なのだろう。

他人に自分を理解してもらいたいと思うことなど、高望み以外の何ものでもないのだが、この男は別らしい。

「大事なことほど耳を貸そうとしないくせに、いちいち人の気持ちを窺おうとするのが気に入らん。俺に対しての『すみません』と『わかりました』も社交辞令の一種だ。

折り合いがつかなそうだと判断すりゃ、俺の許可をすっ飛ばして強引な仕事をするからな。
あいつとは話し合いにならん。

勝手にやってろ、以外に言いようがないわ。俺の言葉にゃ、そもそも何の力もねえしな」
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